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令和5年 第26回交通事故・調査分析研究発表会

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当日配布資料

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令和5年 第26回交通事故・調査分析研究発表会

一般道の道路交通環境が衝突被害軽減ブレーキの追突事故削減効果に与える影響分析
一般国道において道路交通環境がAEBの追突事故削減効果に与える影響を分析した結果、次の知見が得られた。①曲線区間では、車載カメラ等の検知範囲やハンドル操作等に伴う前方車両の検知の遅れや見落としにより事故削減効果が低い。②上り勾配ではアクセルによりオーバーライドをしていることが多いため、下り勾配では重力加速度が前方にかかり一般に停止距離が伸びるため、事故削減効果が低い。③規制速度が60km/hを超過する区間は、AEBの性能認定制度の要件やAEBの保安基準で想定されていないため事故削減効果が低い。④(停止線セットバックが長い等の)急減速する車両と加速する車両が混在する区間では、AEB搭載車による追突事故が発生している。
自動運転グループ 研究員 山口 大輔
夜間の四輪対歩行者死亡事故と高機能前照灯
交通事故統計(マクロ)データによれば、軽傷から死亡までの全事故データの内、夜間事故の割合は3割弱である。一方この30年来、歩行中に交通事故で死亡した人の約7割が、夜間に事故にあっている。四輪や自転車乗車中など他の当事者種別は最近10年で概ね4割弱に収斂しているのとは対照的である。これほどの違いが現れるからには明確な理由が存在すると思われる。今回夜間の歩行者死亡事故において、人的要因の93%を占める「発見の遅れ」を引き起こす主な原因が「前照灯下向き」にあると仮定して、前照灯の上下配光を自動調整する高機能前照灯の装備の有無の効果を検証した。その結果、標準装備車の事故削減効果が明確に示された。
研究部 主任研究員 新井 信太
ミクロ調査におけるイベントデータレコーダ及びドライブレコーダのデータ活用
交通事故調査において原因究明を行う場合、事故状況を可能な限り正確に再現することが重要である。イベントデータレコーダ(EDR)及びドライブレコーダは、事故状況の情報を記録する。本研究では、事故分析技術の向上を目的に、EDR及びドライブレコーダのデータを活用した事故状況の再現を行い、その結果を用いた事故分析方法を検討した。これにより、EDR及びドライブレコーダのデータを付加した衝突直前の走行軌跡を道路図面へ投射した再現図を作成し、この再現図を用いた事故分析方法を示した。
つくば交通事故調査事務所 調査員 杉山 幹
物損事故データを活用した多発箇所の抽出および事故パターン分析
全国の交通事故(人身事故)は、平成16年をピークに減少傾向にあり、令和4年には約30%(H16比)まで減少している。持続的な事故防止を目指すには、人身事故にいたらない物損事故の分析も重要であると考えられる。
本研究では茨城県警が所有している物損事故データベース(H27~H30:約30万件)を活用し、GISにより物損事故多発交差点等を抽出したところ、生活道路・信号なし交差点【潜在的人身事故危険箇所(物損多い・人身少ない)】が多数抽出された。 本研究ではこれら物損事故多発箇所の事故パターン分析より得られた特有の事象を報告する。
研究部 研究第2課 調査役 山本 俊雄
自転車事故の最新動向から導く被害軽減・事故低減のヒント
近年の自転車利用の増加を受け、最新の事故データを用いて自転車事故実態を明らかにした。 まず、事故後24時間を超え30日以内に亡くなる30日死者、頭部傷害状況、ヘルメットの効果を分析した。 また、自転車単独事故については、死亡では転落の多さと転落後の溺死の多さ、死傷では東京での顕著な増加を捉えた。さらに、自転車と歩行者との事故も増加が見られ、特に人口密度の高い都道府県が多い。最後に、乗用車と自転車との事故について、新しい車ほど事故は少なめであるが、同一モデルであればハイブリッド車の方が事故が多めであることが示唆された。 今回の一連の分析で、自転車関与事故の被害軽減・事故低減のヒントと今後の研究課題が得られた。
研究部 主任研究員 河口 健二
電動キックボードの事故例調査
新たに電動キックボードの分析が可能となったマクロデータを使って事故実態を示すとともにITARDAの姉妹研究機関であるドイツVUFOのデータとの比較も交えて、ITARDAが新たに立ち上げた電動キックボードの事故例調査研究について紹介する。
研究部 主任研究員 木内 透