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令和2年 第23回交通事故・調査分析研究発表会

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令和2年 第23回交通事故・調査分析研究発表会

高齢運転者の事故防止研究:認知機能検査と交通事故・違反歴データ分析の紹介と今後の展望
高齢運転者の認知機能と運転、事故発生の問題は、社会的な関心も高く、高齢運転者に有効な事故防止対策を検討するための基礎的知見の収集は急務である。
ITARDAは、2018年度から高齢者講習「認知機能検査」データの提供を受ける事となり、高齢の運転免許保有者の認知機能と、事故や違反との関係を追跡可能な「違反事故履歴統合データベース」を整備できるようになった。
ここでは、本データベースを用いた、認知機能検査と交通事故・違反歴データの分析研究を紹介するとともに、今後の高齢運転者対策に求められる観点を整理の上、対策検討に資する今後の研究展望を述べる。
研究部 特別研究員 小菅 英恵
高齢運転者の認知機能と交通事故~認知機能検査の活用と実車運転評価~
我が国は超高齢社会となり健康とモビリティ維持は重要な課題である。一方で、加齢や疾患による認知機能低下は交通事故リスクであり、認知機能検査の有効活用とともに、医療現場での高齢運転者の適切な運転可否判断が求められている。本研究では、イタルダの違反事故履歴統合DBを用いて、認知機能低下が運転行動の認知、判断、操作に及ぼす影響を分析するとともに、第2分類における詳細なリスク判定の必要性について述べる。また、佐賀大学病院での運転可否判断総合データベース及び実車運転評価の事例研究を紹介し、その有効性を示す。事故分析と医療の連携による研究は、交通事故抑止に加え、個人の移動の自由など、QOL維持にも有効と考えられる。
研究部 特別研究員 堀川 悦夫
高齢者講習のデータと交通事故データを用いた運転者対策の考え方~千葉県警察と連携した事故分析~
本研究では千葉県を対象地域とし、高齢者講習データと交通事故統計データを用いて県レベルで運転者対策を検討する際の考え方を提案する。県レベルの広域には多様な運転者が存在し、運転者対策を検討するには、優先的に対策を講ずべき運転者の集団を特定する必要がある。そこで、千葉県の高齢運転者を運転車種と居住エリアで分類し、運転頻度等問診票のデータ(高齢者の運転意識・行動等)から導いた主観リスクとITARDAの交通事故統計データから導いた客観リスクを用い、リスクを過小評価している集団を特定した。次に、当該集団について、両データを用いて明らかになった道路利用状況、運転者特性から危険な運転行動を探り、安全教育の方向性を検討した。
研究部 研究員 三上 杏奈
車対車の前面衝突事故におけるコンパチビリティ課題の分析(自工会共同研究)
自動車アセスメントに代表される固定バリアによる前面衝突試験によって、車は年々強く安全になってきたが、一方で、重い・大きい車と軽い・小さい車が衝突した時に相互の被害の差が大きいという新たな課題が出てきている。欧州ではこの課題を評価するコンパチビリティ試験を2020年に導入し、日本でも導入論議が始まっているが、日本の事故実態を踏まえた導入要否と評価条件の論議が必要になる。これに資する基礎データとして、自工会と共同研究による事故分析を実施した。その結果、日本市場の車対車の前面衝突事故において、重い車と軽い車が衝突した時に軽い車の乗員の死亡重傷率が高いというコンパチビリティ課題が見られるなどの特徴が確認された。
研究部 主任研究員 谷口 正典
夜間における四輪車と二輪車の右直事故の特徴分析
夜間における二輪車の事故で最も多い四輪車との右直事故の特徴について、2015年~2019年の交通事故データを用いた分析を行った。右直事故の夜間の事故リスクは昼間の約2倍であり、直進二輪車の速度が増すほど高くなる。この速度依存性は、特に右折四輪運転者の事故の人的要因が「判断の誤り」の場合に強く、人的要因が「発見の遅れ」の場合は、低い速度(30〜40km/h)の時でも昼間に比べて夜間の事故リスクが高いことが分かった。また、右折四輪運転者については、高齢層で事故リスクが高く、特に夜間はその傾向が強くなり、後期高齢者(75歳以上)は35〜44歳の約5倍の事故リスクを持っていることが分かった。
研究部 主任研究員 堤 陽次郎
自動運転に向けたミクロデータへのPCM実装 ~ 独VUFOとの連携 ~
ITARDAは、海外の多くの交通事故研究機関との交流を行ってきた。ここでは、25周年の研究発表会招聘講演や技術交流等で最も交流の盛んな独VUFOとの連携について紹介する。VUFOが開発したPCM(Pre Crash Matrix)は、衝突前5秒間の各車両の動きや道路環境等を示す時系列データである。ワークショップ等でVUFOの指導を得て、ITARDAはミクロデータへのPCM実装を可能とした。高速道路のカットイン事故のITARDA-PCMは、日本の自動運転研究であるSAKURAプロジェクトでシナリオやパラメータの妥当性を示すバックデータとして活用された。ITARDAでは今後もPCMの充実を目指す。
研究部 主任研究員 木内 透
幹線道路に囲まれた非幹線道路ブロックエリアにおける交通事故リスク評価手法に関する研究
今後の非幹線道路エリア内における交通安全対策を計画する上で、個々のエリアにおける特徴と交通事故との関係性を把握することは重要である。そこで、本研究では、道路特性,周辺の沿道環境の違いに加え、非幹線ブロックエリア内のマクロ交通特性を考慮し、それら要因と同エリア内の交通事故の起こりやすさ、すなわちエリア事故リスクとの関連性について包括的な分析を行った。その結果、エリア外周の幹線道路の混雑度が高く、かつ当該エリアの主要道路および区画道路の平均旅行速度が低下しているエリアでは、そうでないエリアに比べ車両相互事故と人対車両事故共に事故リスクが高まることを明らかとした。さらに、人対車両事故については、区画道路の平均旅行速度の分散が大きいエリアほど、そのエリア事故リスクが高まるとの結果を得た。
研究部 客員研究員 兵頭 知