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令和元年 第22回 交通事故・調査分析研究発表会

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当日配布資料

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令和元年 第22回 交通事故・調査分析研究発表会

高齢運転者の検挙違反・認知機能検査結果と交通事故
高齢運転者が関与する交通事故が発生する度に社会の耳目を集めている中、昨年の研究発表会で小菅は、認知機能検査の受検者からランダムに抽出した9万人分のデータを使用した多変量解析により、高齢運転者の第1当事者率に影響を及ぼしているのは「事故反復傾向」と「加齢」であることを報告した。
今年は、この結果を踏まえ、当センターが構築した違反・事故履歴統合データベースを使用し、認知機能検査の受検前2年間の検挙違反歴及び検査結果とその後2年間の交通事故の関係等を分析した。その結果、過去に検挙違反歴のある者の認知機能検査結果と事故の関連をみると、第2分類の者は他の分類の者よりも、その後、第1当事者率が高いこと等が明らかとなった。
研究部 研究員 齋藤 達也
高齢者の出会い頭事故における事故特性
近年、高齢運転者に関する交通事故が報道で多く取り上げられ、社会問題となっている。四輪乗員の死亡重傷者のうち高齢者の占める割合は過去15年で倍増し、現在では4割を占めるまでになっている。今後、こうした傾向はさらに進行するものと考えられ、交通事故低減、死傷者低減のためには、高齢運転者への対応が重要な課題である。本報告では高齢運転者の運転能力の低下、人体耐性の低下という二つの観点から、死亡重傷者の最も多い事故類型で約3割を占める出会い頭事故に焦点を当て、運転特性、傷害特性について、どのような状況で高齢者のリスクが高いのかについて報告する。加えて、傷害低減の観点から安全装備への対応による可能性についても考察する。
研究部 主任研究員 成川 岳宏
子供・高齢同乗者の被害軽減に向けたシートベルトの課題
交通事故死者数および死傷者数を削減するために様々な対策が進められている中、近年、交通弱者と呼ばれる歩行者、子供、高齢者が被害に遭う割合が高くなってきており、重点的な取組みが必要となっている。軽・小型・普通自動車の同乗者について、人口10万人当たりの死亡重傷者数の経年推移を見ると、6~12歳の子供と65歳以上の高齢者層の当該死亡重傷者数は、20~64歳の非高齢者層に比べて減少度合が小さく、対策の遅れが伺える。本研究では、6~12歳の子供、65歳以上の高齢の各同乗者についてシートベルトの着用、非着用の視点で死亡重傷事故の実態を調査し、その特徴と課題、必要な対策についての考察結果を報告する。
研究部 主任研究員 谷口 正典
衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の追突事故低減効果補足分析
昨年の研究発表会において衝突被害軽減ブレーキ(AEB)による四輪車対四輪車の追突事故低減効果に関する分析結果を報告した。この分析では危険認知速度別、昼夜別、運転者年齢別にAEBの効果を確認した。しかし運転者年齢別に関しては十分な分析が行えたとはいい難く、今年は別手法による再分析を行った。また同じ手法で免許取得経過年別の分析も行っている。更に今年は平成30年情報が追加され対象事故件数も増えているので、AEBが装備されていながら追突事故が発生しているケースに関する重回帰分析を実施し、AEBの効果と各種変数との関係性についての考察結果も報告する。
研究部 主任研究員 木下 義彦
衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の世代別効果分析
近年、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)は普及当初(第1世代)より高性能なセンサ(第2世代)を搭載することで、作動速度の向上や歩行者等の検出が可能となりつつある。本報告では、現在のAEBの主な作動対象である2つの事故類型(対四輪車追突事故及び人対車両事故)について、AEB世代別に事故状況別、運転者特性別の事故被害軽減効果を把握した。なお、世代別の効果分析が行いやすい軽自動車が1当となる事故を分析対象とした。2つの事故類型において、第2世代AEB車の方が事故被害軽減効果が大きいことを確認した。

研究部 研究員 近藤 直弥
ミクロ調査から見た車線逸脱事故の特徴
近年、日本の交通死亡事故件数は減少してきているものの、2018年においては3,449件発生しており、依然としてその件数は多い。その中でも、自車線を逸脱し対向車や工作物などとの衝突を招く車線逸脱事故は、四輪車乗車中における死亡事故の半数を占めており、今後の低減が望まれるものである。
当センターでは、この点に着目しその低減に向けて車線逸脱事故に関する分析結果を報告してきている(2012,2016)。本研究ではさらに、今後の普及が期待される予防安全システム、特に車線逸脱防止システムの進化に資する基礎データの収集を目的として、当センターのミクロ調査事故例を活用した事故再現などにより、車線逸脱事故の特徴分析を行った。
つくば交通事故調査事務所 調査員 鳥飼 顕史
実事故データを用いた自転車事故発生要因の分析  ~出会い頭事故に注目した事故データベース間の比較~
本研究では、交通事故総合分析センターで収集された交通事故データと著者らが分析をおこなっているドライブレコーダデータを用いて、四輪車対自転車事故のうち、出会い頭事故の死亡重傷事故と軽度接触との衝突状況の違いを明らかにすることを目的とする。分析の結果、マクロ、ミクロデータともに死亡事故の危険認知速度はより高速度側に分布している一方、ドライブレコーダデータベースの分析ではより広範囲から自転車が出現するなど、傾向の違いが確認された。さらに、交差点、単路での出会い頭事故を分析すると、調査している地区の道路環境や交通量の違いに起因する可能性もあるものの、交差点形状や事故形態に違いがみられた。
研究部 客員研究員(名古屋大学 大学院工学研究科 助教) 伊藤 大輔