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2023年学会発表論文

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2023年学会発表論文

子供自転車事故の実態 ~事故統計的視点~
【講演】日本機械学会 バイオエンジニアリング部門「第23回傷害バイオメカニクス研究会」(2023/2/7)

講演者:河口健二

第23回の研究会のテーマは「子供/妊婦傷害に関する研究」で、その中で子供自転車の事故について、様々な視点で分析した結果を報告した。ここでは、子供は12歳以下と13-18歳に分けて分析を行った。報告した主な知見は以下である。
都道府県により自転車事故の年齢構成率が異なり、東京や大阪は子供の構成率が十数%以下と小さいが、群馬で50%近く,栃木、滋賀などは30%前後となっている。
事故の時間帯を見ると、13-18歳は朝7時、8時台の自転車事故がとても多い。
また、12歳以下と共に夕方の事故も多くなっている。
事故類型で見ると出会い頭事故が数十%と最大で、さらに、軽・普通乗用車との事故が多い。
重傷については、骨折が多く、その部位は腕、脚、胸、頭などとなっている。
ヘルメット着用により、死亡重傷における頭部比率を半減できていることが明らかになった。
Study on estimation of traveling trajectory using the recording data in the event data recorder
【論文】SAE International Journal of Advances and Current Practices in Mobility

発表者 :松村英樹・伊藤達也

In order to investigate traffic accidents and determine their causes, first it is necessary to clarify the circumstances in which they occurred. The traveling trajectory of the vehicle(s) involved prior to the collision is an important part of such clarification. In this study, we conducted experiments on a vehicle with an event data recorder (EDR) and examined its pre-collision trajectory estimated from data recorded by EDR, aiming to obtain such trajectories based on quantitative data recorded by EDRs. In the experiment, the test vehicle with an EDR had also a high-precision measuring system onboard that determined the vehicle’s position by a global positioning system (GPS) and measured vehicle behavior. The vehicle was driven on a test course, with the EDR and the measuring system recording their data simultaneously. The vehicle speed and yaw rate data recorded by the EDR were integrated to get an estimated trajectory of the vehicle. The comparison of the EDR-based traveling trajectory with the GPS positioning results revealed generally similar results when the vehicle behavior changed slowly (rounding curves, etc.). When the vehicle behavior changed sharply (zipping through a slalom, etc.), the difference between the EDR-based traveling trajectory and the GPS positioning results was larger than when it changed slowly. When the vehicle behavior changed sharply, the EDR-based traveling trajectory could not be fully reproduced because the sampling frequency of the EDR-based vehicle speed and yaw rate was lower. The results of this experiment suggest that the traveling trajectory can be estimated from the EDR-based vehicle speed and yaw rate if the vehicle behavior changes slowly. The results also indicated that, to get the traveling trajectory while the vehicle behavior keeps changing rapidly, we need to make the EDR sampling frequency higher than the current ones.

Matsumura, H. and Itoh, T., "Study on Estimation of Traveling Trajectory Using the Recording Data in the Event Data Recorder," SAE Int. J. Adv. & Curr. Prac. in Mobility 5(2):580-594, 2023, https://doi.org/10.4271/2022-01-0837.
一般国道の道路交通特性が衝突被害軽減ブレーキの追突事故削減効果に与える影響分析
【学会発表】第67回土木計画学研究発表会・春大会(2023/6/3)

著者:吉田 真平・山口 大輔・上坂 克巳

今後,更なる普及が見込まれる衝突被害軽減ブレーキ(AEB)等の運転支援機能を搭載した先進安全自動車が交通事故の削減にどの程度効果があるかを,様々な条件において把握することは,今後の道路施策や交通安全施策を検討するにあたり,非常に重要である.本研究では,一般道におけるAEB搭載車による事故削減効果を事故類型別等により比較するとともに,特に大きな効果が見込まれた追突事故を対象に,一般国道の道路構造や交通環境等の道路交通特性がAEB搭載車による事故削減効果に与える影響について分析を行った.その結果,カーブでは車載カメラ等の検知範囲やハンドル操作等によりターゲットとなる前方車両の特定に対する遅れや見落としが追突事故に影響を与えていること,上り勾配では前方車両の速度低下やAEB制動に対し運転者によるアクセルの踏込量が大きいことが追突事故に影響を与えていること,霧や雪による視界不良時には車載カメラの検知性能の低下が追突事故に影響を与えていることなどが示唆された.
ステークホルダーと実施する交通事故データを活用した交通安全の支援 
【ワークショップ】日本応用心理学会 日本応用心理学会第89回大会 自主企画WS「社会に役立つ応用心理学研究を考える-道路交通社会を例とした貢献と課題-」(2023/8/27-28)

企画者:(話題提供者)大谷亮
話題提供者:(司会)小菅英恵・中西誠・中野友香子 

多くの人々にとって住みやすい社会には,安全な交通社会の実現が不可欠である.それには,根拠に基づいた交通事故防止の立案(EBPM:Evidence-based policy making)の過程が極めて重要となる.ITARDA(交通事故総合分析センター)はこのEBPMの基盤となる大規模な『交通事故統計』データを保有しており,県や市などの地域単位の交通事故リスク評価をはじめ,住民を対象とした安全意識・態度などを調査し,地域の人々の交通事故発生につながる心理・行動を科学的に分析,また心理検査の結果なども用いて,地方行政,警察,民間企業等と各種交通安全対策の立案や提言を行なっている.交通安全研究の目指すところは社会実装であるが,現場の専門家の不在,資金不足,横断的体制の構築の難しさなど課題が横たわっている.ここでは,いかに心理学研究を社会実装につなげていくかについても議論を進めたい.

大谷 亮,・小菅 英恵,・中西 誠,・中野 友香子(2023).社会に役立つ応用心理学研究を考える - 道路交通社会を例とした貢献と課題  日本応用心理学会退会発表論文集,89, 10.

交通事故調査におけるイベントデータレコーダ(EDR)の記録データとドライブレコーダ の記録映像を組み合わせた衝突直前状況の再現方法の検討
【学会発表】自動車技術会 2023年秋季大会 学術講演会(名古屋,10/11-13)

発表者or講演者 :杉山 幹 松村 英樹

交通事故調査において原因究明を行う場合、衝突直前の事故状況を可能な限り正確に再現することが重要である。イベントデータレコーダ(EDR)とドライブレコーダは、事故状況の情報を記録する。本検討では、事故状況の確からしさを向上させることを目的として、これらの情報を組み合わせて衝突直前の事故状況の再現方法を検討した。その結果、これらの情報を付加した走行軌跡を道路図面に投射する方法を示した。また、その再現方法を実際の交通事故例調査の一事例に適用した。

セッションNo. 127 事故分析, 講演番号No. 185, 文献番号,20235185
運転者の加齢と交通事故の関係-無過失事故当事者数を用いた準道路交通暴露量の指標による事故分析-
【学会発表】日本安全運転医療学会「第7回日本安全運転医療学会学術集会」(2023/12/16)

発表者:小菅英恵

本分析では,運転者の加齢要因が交通事故発生とどのように関係するかを定量的に検討するため,ITARDAの交通事故統計データを用いて,乗用車運転者の年齢層(18~24・25~54・55~64・65~74・75歳以上)ごと,事故の人的要因別に各集団の無過失事故当事者数を準道路交通暴露量とした1当リスクの比を求めた.結果,運転者の内在的あるいは外在的「前方不注意」や「動静不注視」による事故リスクは75歳以上集団で高まるが,ブレーキ操作が関わる「操作不適」や「安全不確認」による事故リスクは65~74歳集団で高まることが分かった.本分析により,運転者の要因による事故リスクは加齢に伴い一定の年齢に達するとリスクが高まるものではなく,前期高齢者の段階で,操作の不適や相手当事者の発見の遅れといった要因が顕在化することが示された.

小菅 英恵(2023).運転者の加齢と交通事故の関係-無過失事故当事者数を用いた準道路交通暴露量の指標による事故分析-  第7回日本安全運転医療学会学術集会抄録集,49