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2022年学会発表論文

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2022年学会発表論文

Study on estimation of traveling trajectory using the recording data in the event data recorder
【学会発表】WCX SAE World Congress Experience 2022 (2022/4/5-7)

発表者 :松村英樹・伊藤達也

In order to investigate traffic accidents and determine their causes, first it is necessary to clarify the circumstances in which they occurred. The traveling trajectory of the vehicle(s) involved prior to the collision is an important part of such clarification. In this study, we conducted experiments on a vehicle with an event data recorder (EDR) and examined its pre-collision trajectory estimated from data recorded by EDR, aiming to obtain such trajectories based on quantitative data recorded by EDRs. In the experiment, the test vehicle with an EDR had also a high-precision measuring system onboard that determined the vehicle’s position by a global positioning system (GPS) and measured vehicle behavior. The vehicle was driven on a test course, with the EDR and the measuring system recording their data simultaneously. The vehicle speed and yaw rate data recorded by the EDR were integrated to get an estimated trajectory of the vehicle. The comparison of the EDR-based traveling trajectory with the GPS positioning results revealed generally similar results when the vehicle behavior changed slowly (rounding curves, etc.). When the vehicle behavior changed sharply (zipping through a slalom, etc.), the difference between the EDR-based traveling trajectory and the GPS positioning results was larger than when it changed slowly. When the vehicle behavior changed sharply, the EDR-based traveling trajectory could not be fully reproduced because the sampling frequency of the EDR-based vehicle speed and yaw rate was lower. The results of this experiment suggest that the traveling trajectory can be estimated from the EDR-based vehicle speed and yaw rate if the vehicle behavior changes slowly. The results also indicated that, to get the traveling trajectory while the vehicle behavior keeps changing rapidly, we need to make the EDR sampling frequency higher than the current ones.

Matsumura, H. and Itoh, T., "Study on Estimation of Traveling Trajectory Using the Recording Data in the Event Data Recorder," WCX SAE World Congress Experience 2022, 2022-01-0837.
安全・健康な地域づくりに向けた交通事故死者・死亡重傷者の都道府県比較:標準化死亡比を用いた地域特性分析
【学会発表】土木学会「第65回土木計画学研究発表会・春大会」(2022/6/5)

発表者:小菅英恵

本研究では,県の交通事故死者および死亡重傷者の実態を定量的に検討するため,ITARDAの交通事故統計データを用いて,都道府県単位で自動車運転中・歩行中・自転車乗車中のa)標準化死亡比:年齢構成の違いによる死者率・死亡重傷者率の偏りを標準化,ならびにb)全国の死者・死亡重傷者の率に対する各県の死者・死亡重傷者の率の比を求めた.分析の結果,自動車運転者が死亡・重傷化する事故は東北の日本海側,自転車に乗車する者が死亡・重傷化する事故は西日本,四国に多く分布していた.歩行者が死亡・重傷化する事故は,人身損傷の程度と年齢層で地域分布が異なっていた.安全で健康な地域づくりにおいて,地域住民の生活のあり様が反映される移動状態ごとに,地域間の交通事故リスクの隔たりを縮小していくことが重要と考える.

掲載:土木計画学研究発表会・講演集(CD-ROM),65,No.41-1
地域高齢者の実車評価による不安全な運転行動の特徴
【論文】土木学会「土木学会論文集D3(土木計画学)」

著者:小菅英恵・谷口綾子・佐々木邦明

本研究は,地域高齢者の実車評価による不安全な運転行動の特徴を把握するため,「高齢者講習」受講者約9千人の「運転行動診断票」の記述データから不安全な運転行動の細目を生成し,因子分析とクラスター分析から,不安全な運転行動のパタン化を試みた.さらに,7つの不安全な運転行動のクラスターと,「認知機能検査」の判定結果,年齢,運転頻度・運転車両,講習で希望する AT/MT との関連を分析した.結果,高齢者の不安全な運転行動は,認知機能低下等によって一律に形成されず,a 正常加齢,b 正しい運転知識の未修得,c 日頃運転する車両による認知・操作特性,d 運転頻度の減少による知覚運動協応技能の困難,e「認知機能検査」で測定した記憶力・判断力低下という,複数の要因が相互に影響し合い,表出することを実証的に明らかにした.
 ※第62回土木計画学研究発表会・秋大会にて発表したものである.

掲載:土木学会論文集D3(土木計画学),77, I_603-I_613. 
高速道路等の交通特性が衝突被害軽減ブレーキの追突事故削減効果に与える影響分析
【学会発表】公益社団法人土木学会「第65回土木計画学研究発表会・春大会」(2022/6/5)

著者:吉田真平・山本将大・上坂克巳

今後,更なる普及が見込まれる衝突被害軽減ブレーキ等の運転支援機能を搭載した先進安全自動車が交通事故の発生状況にどのような効果や影響を与えるかを把握することは,今後の道路施策や交通安全施策を検討するにあたり,非常に重要である.本研究では,高速自動車国道等で発生した追突事故を対象に,衝突被害軽減ブレーキ搭載車と非搭載車の事故発生状況について比較を行い,衝突被害軽減ブレーキ搭載車の事故削減効果に影響を与えた交通特性等について分析を行った.その結果,追突事故が多い臨時速度規制50km/h以下の区間で33.7%の高い事故削減効果を示した.また,一方向に複数車線を有する区間では,第一通行帯での事故削減効果が最も高く,4車線は27.5%,6車線は46.0%の事故削減効果を示した.
※第65回土木計画学研究発表会・春大会にて発表したものである。

掲載:土木計画学研究発表会・講演集(CD-ROM),65,No.58-1                      
予防安全技術および自動運転車に向けての交通事故統計と事故例調査のあり方:心理学領域からの接近
【講演】日本交通科学学会 第58回日本交通科学学会総会・学術講演会「事故分析の現状と今後のあり方」シンポジウム(2022/6/29)

講演者:小菅英恵

本話題提供では,現在の状況を俯瞰し,今後の“人生100年時代”を見据えて,社会的に求められるクルマとは何か,そうしたクルマに向けての「交通事故統計」,および「交通事故例調査」はどうあるべきかの学際的議論につなげることを意図して,心理学的観点から,高齢運転者の行動的特性に着目した「交通事故統計データ」および「事故例調査データ」の事故分析を報告・紹介する.

掲載:日本交通科学学会誌 第58回日本交通科学学会学術講演会講演集,22(補刷),40.
オープンデータを用いた都道府県別移動状態別標準化死亡比の影響要因の分析 :傷害予防のための地域相関研究
【学会発表】日本交通科学学会「第58回日本交通科学学会総会・学術講演会」(2022/6/29)

発表者:小菅英恵

安全で健康な地域づくりにおいては,交通事故死者の地域差を是正していくことが必要である.本研究では,障害予防のための人間行動-環境の相互作用モデルに基づき,交通事故による24時間以内死者の影響要因について,道路交通含む社会・環境要因,地域交通参加者の道路利用特性や安全行動に関わる要因,衝突時の人体への衝撃要因,衝突後の救急体制などの地域医療といった各種行政のオープンデータを用いて,都道府県別移動状態別標準化死亡比との関連を解析した.重回帰分析の結果,自動車運転者の死者数に地域の生活環境・道路利用特性・運転者集団特性・安全行動の差異が影響を及ぼすことが明らかとなった.安全・健康な地域づくりではEBPM(Evidence Based Policy Making)の過程は不可欠であり,オープンデータを利活用して地域の交通事故死者に影響を及ぼす要因を特定し,その要因に対し対策を立てることが有効である.

掲載:日本交通科学学会誌 第58回日本交通科学学会学術講演会講演集,22(補刷),46.
高速道路等の車線構成が衝突被害軽減ブレーキの追突事故に与える影響分析
【学会発表】一般社団法人日本交通科学学会 第58回日本交通科学学会・学術講演会(2022/6/29)

著者:吉田真平・山本将大・上坂克巳

今後、更なる普及が見込まれる衝突被害軽減ブレーキ(以下、AEB)等の運転支援機能を有する先進安全自動車が交通事故の発生状況にどのような効果や影響を与えるかを把握することは、交通安全施策を検討上で重要である。本研究では、高速道路等の車線構成に着目し、AEB搭載車による追突事故削減効果について分析を行った。
※第58回日本交通科学学会・学術講演会にて発表したものである。

掲載:第58回日本交通科学学会・学術講演集、22 補冊, 38
地域高齢者の生活満足と運転・事故リスク認知の免許更新者と返納者の比較
【学会発表】日本交通心理学会「日本交通心理学会第87回大会」(2022/8/7)

発表者:小菅英恵・谷口綾子・佐々木邦明・平根英一・菱川豊裕・影澤英子・堀口慶二

本研究では,茨城県に居住する65歳以上の運転免許更新者と運転免許返納者を対象に,高齢住民のどのような意識が運転継続や断念に関わるのかを明らかにするため,生活・運転・交通事故の意識や認識についてアンケート調査を行なった.分析対象者(N=732)の回答値で探索的因子分析を行ない,得られた因子構造から,高齢者の生活満足,運転の危険認知の意識構造が示唆された.これら意識と運転免許証の状態の分散分析の結果,運転免許更新者は運転の危険認知は低いが生活満足感が高い傾向を示し,運転免許返納者は逆の傾向を示すことが明らかとなった.

掲載:日本交通心理学会第87回大会発表論文集,48-51.
運転者のヒヤリ・ハットの潜在因子と運転者属性・発生環境の関連分析:職場の安全管理のためのヒヤリ・ハット報告活用のデータマイニング
【学会発表】日本行動計量学会「日本行動計量学会第50回大会」(2022/8/31)

発表者:小菅英恵

職場で発生する事故を未然に防ぐには,インシデント(潜在的な事故:incident accident)に対する対策が重要である.本研究では,既存のヒヤリ・ハット報告データ(1,664件)を活用し,職場の運転者管理に資する基礎資料を得ることを目的に,運転者のヒヤリ・ハット体験の潜在的な要因を探り,その潜在因子と事業所,発生環境との関連性を探索的に分析した.結果,運転者は,経験不足,作業負荷,環境影響と異なる要因で,運転時にヒヤっとしたり,ハッと感じる体験を報告することが分かった.また,事業所や発生環境でこれらヒヤリ・ハット体験の内容に違いがみられたことから,運転者のヒヤリ・ハットは,運転者が置かれた業務状況で異なること,一方で,「覚えていられない」など運転者側の要因も示唆された.既存のヒヤリ・ハット報告データの分析により,職場で働く人間を中心として,インシデントにつながる潜在的課題を明らかにできることが分かった.ヒヤリ・ハットデータ分析は,職場の安全管理に有用である.

掲載:日本行動計量学会第50回大会抄録集,331-334.
運転適性検査を用いた事故発生の危険因子の同定と自社交通事故の予測に関する多変量データ解析
【学会発表】産業・組織心理学会「産業・組織心理学会第37回大会」(2022/9/3)

発表者:小菅英恵・西田泰・菅野裕

本研究では,企業の安全運転管理管が実践する教育指導の基礎資料を得るため,「運転適性検査」結果を用いて,業務中に発生する社員の自責事故経験を予測するモデルを作成し,その予測精度を確認した.業務中自責事故発生を予測するモデルは,運転適性検査「協調性」の判定結果が最も当てはまりが良かった.運転適性検査は,自社の事故発生に関わる運転者特性の把握に有用なデータとなりうる.

掲載:産業・組織心理学会第37回大会発表論文集,26-29.
人生100年時代の車の運転:多くの人々の幸福な交通社会を目指して
【講演】日本心理学会 日本心理学会第86回大会 企画シンポジウム(2022/9/8-11)

講演者:(企画・司会)小菅英恵・(演者)小菅律・島崎敢・青木宏文・新海裕子・藤田佳男・谷口綾子・佐々木邦明・蓮花一己・岡本努

年々,交通事故件数・24時間死者数が減少する中で,65歳以上高齢者が占める死亡事故件数および死者数の割合は増加傾向である.これは,人口・免許保有者の高齢者の割合が増加したこと,つまり“社会の高齢化”に伴う現象である.高齢者は衝撃耐性の低さから交通事故の被害リスクが高い.他方で,加齢に伴い運転に求められる身体的構造,または身体機能や高次な認知機能等や運転技能が低下を示すことから,近年,高齢運転者の加害リスクも指摘されている.「運転」は個人と社会をつなぐ重要な活動であり,個人の健康増進に寄与することから,長寿社会において,運転継続は個々人の幸福,QOL(Quality of life:生活の質)につながる重要な人間活動と言える.多くの交通参加者が高齢者となる社会背景の中,社会はどうあるべきか,また,わたしたちはいかにあるべきだろうか?本シンポジウムでは,人間を中心とした「人生100年時代」の交通安全社会の方向性について,「高齢者心理」「AIと安全運転評価」「運転と地域医療」「高齢者の免許と生活」「データを活用した健康・都市づくり」などをキーワードにそれぞれの専門家とともに横断的な議論を通して模索したい.
高齢ドライバーの 不安全行動はどのように形成されるのか?:運転における学習・加齢変化の心理学的アプローチ
【講演】自動車技術会「自動車開発における人間工学の理論と実践」シンポジウム(2022/9/13)

講演者:小菅英恵

本講演では,運転における学習・加齢変化の理論に基づいた高齢者5,400名の実車評価による不安全行動データの分析から,高齢ドライバーの不安全行動が運転頻度や認知機能の低下などによる“運転技能の衰え”や,これまでの運転経験で定着した“不安全な運転スタイル”を背景に形成されること,そして,これらの形成背景に応じた安全運転支援の方向性について話題提供を行なう.

掲載:JSAE SYMPOSIUM 自動車開発における人間工学の理論と実践 No.01-22,63-68. 
自動車教習所における発達障害者の教習に関する調査研究
【論文】東京未来大学「東京未来大学研究紀要」

著者:小菅英恵

昨今,障害者の運転再開や運転免許取得など,自動車運転支援の取り組みが,自動車教習所(以下,教習所)で徐々にではあるが始まってきている.発達障害者の教習については,全指連が教習所の積極的な受け入れを推進しているが,実際に受け入れる現場の教習所職員が,発達障害者の教習についてどのような意識を持っているか,また,どのような受け入れの現状や実態であるかを調査する研究は見当たらない.そこで本研究では,教習所における発達障害者に対する運転免許取得支援の取り組みに向けて,教習に携わる教習資格を保有する教習所職員を対象に,発達障害者の運転免許取得や教習に関し質問紙調査を実施し,発達障害者の教習実態や,職員の意識を把握することを目的とする.

小菅 英恵(2022).自動車教習所における発達障害者の教習に関する調査研究 東京未来大学起用,17, 49-60.  

発達障害者の教習に関する自動車教習所指導員の意識:東京都を対象として
【学会発表】日本応用心理学会「日本応用心理学会第88回大会」

発表者:小菅英恵

昨今,指定自動車教習所では,障害者の運転再開や運転免許取得など,自動車運転支援の取り組みが始まっている.しかし,受け入れる現場の教習所職員が,発達障害者の教習についてどのような意識を持っているか,また,どのような現状であるかについて,十分に把握がなされていない.本調査では,東京指定自動車教習所の教習指導員および技能検定員(N=416)を対象に,発達障害者の運転免許取得や教習に関する質問紙調査を実施した.調査の結果,発達障害者が免許取得可能なことを知らない者が約2割存在すること,職員の意識には,積極的な運転免許取得支援に対し期待がある一方で,発達障害や障害者に対する不安,また,障害者を対象とした教習の実施や方法,免許取得後の事故などに懸念があることが明らかとなった.
交通事故統計データによる運転者の死亡事故惹起性と居住者の死亡危険性の定量評価
【学会発表】日本公衆衛生学会「第81回日本公衆衛生学会総会」(2022/10/9)

発表者:小菅英恵

本研究では,ITARDAの交通事故統計データを用いて,福井県において優先して対策を行なう運転者集団や,死亡危険性の高い居住者集団を特定することを目的に,当該県の運転者の死亡事故惹起性と,居住者の死亡危険性から県の死亡事故リスクを算出した.運転者の死亡事故惹起性:分子は,運転車種別に各ドライバーが居住エリア内で死亡事故を起こした件数(第1当事者数),分母は,事故当事者の運転免許種別運転免許保有者数(事故発生と同年の累積数)とした.居住者の死亡事故危険性:分子は,エリア別の死亡事故発生件数(死亡危険性),分母は,エリア別人口数(事故発生と同年の累積数)とした.定量化により,福井県の乗用車の運転者は,福井エリア居住の運転者は他の居住集団と比べ,居住エリア内での死亡事故惹起性が高かった.また福井県の居住者は,嶺南居住者の死亡危険性が他の集団と比べ高かった.本手法による定量指標により,運転者の居住エリア内の死亡事故を惹起する可能性や,居住者が交通事故で死亡する危険性を詳細に把握可能であることが分かった.
車の進化による乗用車対自転車の事故低減状況の統計的分析
【学会発表】自動車技術会 2022年秋季大会 学術講演会(大阪, 10/12-14)
      (セッションNo. 124 交通事故分析, 講演No. 189, 10月14日(金)講演)

発表者:河口健二

自動車の安全技術と性能の進化は顕著である。普通乗用車についてフルモデルチェンジ年を基に4つにグルーピングし,それらのグループ間で普通乗用車前面と自転車の事故を統計的に比較することにより、車の進化による事故低減効果を大局的に明らかにした.具体的には、2003年以降にフルモデルチェンジされた車種はそれ以前の車種と比べて、保有台数10万台当たりの自転車乗員死亡事故が有意に低減できていることがわかった。頭部の傷害の低減が見られた。死亡重傷と死傷事故については、2016年以降にフルモデルチェンジされた車種群に低減が見られた。
加害部位について、自転車乗員と歩行者を比較すると、自転車の方が路面の比率が高くなっている。また、傷害程度が低くなるほど路面の比率が高い。
死亡事故は、頭部の比率が66%と高く、ほとんどヘルメット非着用である。また、高齢になるほど急激に死者が多くなる傾向にもある。ヘルメット着用時は死亡、死亡重傷も大きく減らすことができていることを事故データから定量的に示した。

掲載: 2022年秋季大会 学術講演会予稿集 講演No.189

運転免許返納者と更新者の生活・運転・事故の意識に関する調査研究:茨城県の高齢者を対象として
【学会発表】土木学会「第66回土木計画学研究発表会・秋大会」(2022/11/13)

発表者:小菅英恵・谷口綾子・佐々木邦明

本研究では,茨城県に居住する65歳以上の運転免許更新者と運転免許返納者を対象に,高齢住民のどのような意識が運転継続や断念に関わるのかを明らかにするため,生活・運転・交通事故の意識や認識についてアンケート調査を行なった.分析対象者(N=732)の回答値で探索的因子分析を行ない,得られた因子構造から,高齢者の生活満足,運転の危険認知の意識構造が示唆された.これら意識と運転免許証の状態の分散分析の結果,運転免許更新者は運転の危険認知は低いが生活満足感が高い傾向を示し,運転免許返納者は逆の傾向を示すことが明らかとなった.QOL(Quality of life:生活の質)やwell-beingまで含めた地域の人々の意識の把握は,誰もが健康で安心に移動できる地域の交通安全の設計や社会づくりに有用である.
 ※日本交通心理学会第87回大会発表にて発表したものである.

掲載:土木計画学研究発表会・講演集(CD-ROM),66,36-04.