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2017年学会発表論文

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2017年学会発表論文

交通安全態度・地域交通リスク認知バイアスの分析:教育的交通安全対策の検討に向けて
【学会発表】日本交通心理士会「日本交通心理士会第14回札幌大会」(2017/11/5)

発表者:小菅英恵

本研究は,地域住民を対象とした交通安全行動やマナーを他者評価させたアンケートの回答(主観的危険認知)と,当該県の人身事故データ(客観的事故リスク)を用いて,(1)地域レベルの交通安全態度の実証的な把握,ならびに,(2)地域交通リスク認知バイアスの把握を試みた.分析の結果,交通安全態度に地域差が見られ,当該地域の住民は地域交通リスク認知が過小評価に歪んでいる傾向が明らかとなった.

掲載:日本交通心理士会第14回札幌大会発表論文集,33-34.
ヒヤリハット類型と日常運転行動,運転意識の関係:安全教育対策検討のためのヒューマンエラー分析
【論文】労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所「労働安全衛生研究」

著者:小菅英恵

本研究では戦略的な交通事故未然防止につながる交通安全教育の検討を目的に,交通事故発生要因を分析した.分析では,業務・通勤時の運転者を対象に質問紙調査法によって日常の運転行動に潜むヒヤリハットについて,衝突しそうな対象・状況で類型化しヒヤリハットの可視化を試みた.多変量順序ロジスティック回帰分析の結果,ヒヤリハットの危険因子となる日常運転行動と発生率の関係がわかった.またヒヤリハット背後の運転傾向性を把握するため探索的因子分析を行い,ヒヤリハット発生の潜在因子である「不安全運転」「判断の迷い」「自己中心」の因子を抽出した.各因子について,ヒヤリハット類型ごと発生回数,年齢層の分散分析を行った結果,年齢層やヒヤリハット回数の関連性がヒヤリハット類型で異なっていた.本結果から,交通事故は習慣化された不適切な運転行動の要因,環境側の要因,個人差の要因,年齢の要因が複雑に関わり発生リスクが高まることが明らかとなった.したがって交通事故防止対策では,運転者個々人の運転にあらわれる特徴を客観的に把握する機会を持つ重要性が改めて示された.また組織と個人の両レベルから多様な安全教育・指導のアプローチで取り組む必要があると考える.

掲載:労働安全衛生研究, 11,25-37.