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平成12年 第3回 交通事故・調査分析研究発表会

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平成12年 第3回 交通事故・調査分析研究発表会

1 交通事故の最近の傾向と高齢化社会
 最近10年間で交通事故は、若者事故の減少あるいは総死者数が減少する一方での高齢死者の増加などの質的変化を見せている。その要因の一つは人口、免許保有者の年齢構成変化である事が分かった。また平成11年の事故データを用い、年齢差に着目した分析を実施、高齢者は各種の身体機能の低下に伴い歩行中、自転車乗用中、車両同乗中はもとより車両運転中でも重大事故を起こしやすい事が分かった。近い将来、人口、免許保有者の高齢化により、死者数全体が再び増加に転じる事が懸念される。
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2 自動車の大きさクラス別事故分析
 自動車には、大型トラック、1BOX、SUV、乗用車、軽自動車など様々な大きさ、形状、用途のものがある。今回、車両の寸法(=全長・全幅・全高)、や形状、車両総重量等の車両データと交通事故統計データと組み合わせることによって、実際の自動車の大きさや形状に沿ったクラス分類を行い、「どのような大きさクラスの車種」が「どのような種類の道路」で「どのような事故を起こしているのか?」交通事故の特徴の分析を試みた。
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3 高速道路における冬季交通事故特性
 積雪地の高速道路における雪に係わる交通事故は、年間の交通事故の約3割を占めており、その事故特性については、事故類型・行動類型・違反種別等、通常時の交通事故とは異なった傾向を示している。本分析は交通事故統計データによるマクロ分析により冬期交通事故の特徴を示し、事故例調査結果より事故発生要因を人、道、車の視点から整理し、高速道路における冬期交通事故の特性と事故発生要因の分析を行った。
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4 SRSエアバッグに関する前席乗員の傷害分析
 マクロ分析によれば、SRSエアバックを装備した車では、乗員の死亡重傷率が約25%軽減されることが分かった。
 そこでミクロ事例調査を行い、エアバック装備有無による乗員の傷害発生状況を比較し、傷害軽減効果が得られる背景を分析した。車両の前面を衝撃した普通乗用車を調査した結果、エアバックが展開した車で、激しい衝撃が作用する衝突でも、頭部及び顔部傷害が少ないことが確認された。
 なお、大型トラックへの潜り込み衝突やベルト非着用後席乗員がいた場合にはエアバックが展開しても重大な傷害を受けた事例があった。
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5 後席乗員のシートベルト非装着が前席乗員に及ぼす影響
 後席乗員がシートベルトを着用しない状態で、車両が前面衝突すると、後席乗員は前方に飛ばされ、直接もしくはシートバック等を介して前席乗員に衝突し、前席乗員が大きな傷害を受ける場合がある。今回はマクロ統計データにより、後席乗員のシートベルト着用有無による前席乗員への傷害の影響を分析すると共に、事故例調査によるミクロ調査の中から、後席乗員がシートベルト非着用であったために前席乗員の傷害に影響を及ぼした事故事例を紹介し、後席乗員等に対する確実な拘束の必要性を訴える。
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6 飲酒と交通事故
 飲酒運転は夜間における死亡事故の4分の1を占めるなど、重大事故の主要な発生原因の一つである。本調査研究では、最近における飲酒運転事故の発生状況の変化、都道府県による飲酒運転事故の発生状況の違い、呼気中アルコール濃度別の危険性、飲酒運転事故を起こした運転者の累犯性等について交通事故統計分析を行った。分析結果に基づき、より効果的な飲酒運転の防止対策に関して提言を行う。
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