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令和4年 第25回交通事故・調査分析研究発表会

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当日配布資料

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令和4年 第25回交通事故・調査分析研究発表会

低速域における歩行者事故の特徴
国内における歩行者の死者数は、2009年に四輪車乗員を抜いて以降、交通事故当事者中で最多の状態が続いている。また最近10年間をみると、歩行者の死亡重傷事故は全体では約3割減少したものの、低速域(20km/h以下)では殆ど減っておらず、次なる課題と考えられる。このような背景から、本研究では、①低速域の事故が減らない原因、②低速域でも死亡重傷に至る原因を調べた。結果、そもそも交通事故の速度が全体的に低下しており、背景に人口の都市集中や少子高齢化が考えられること(①)、低速域では轢過、路面加害や低耐性歩行者など傷害要因が多様化し、衝突安全のみでは対応困難と考えられること(②)が明らかになった。
研究部 主任研究員 渡辺 泰介
若者の二輪車死亡事故削減に向けて ~ヘルメット離脱の傾向から見えること~
「二輪車乗車中」の死者数も他の「自動車乗車中」、「歩行中」と同様に全体では減少傾向となっている。それに対し「自動二輪車乗車中」の減少幅が緩やかである。更なる削減に向け本報告では事故マクロデータと警視庁の事故データ等にて分析を行った。課題として年齢層別での死者数で若年層の比率が高いことや、死亡事故でのヘルメットの離脱率が30%前後で推移していることを取り上げた。分析結果から、若年層では速度超過の傾向が高いことや、ヘルメット離脱ではヘルメット形状を含めた離脱要因の傾向が確認された。また離脱のリスク比から離脱防止による死者削減可能人数の推算を試みた。最後にこれら結果から見える死者削減への提言を述べる。
研究部 主任研究員 加藤 隆輔
高速道路における追突事故発生状況とAEBの効果分析
安全な自動車社会の実現には、先進安全自動車の発展・普及のみならず、運転支援機能や自動運転機能の作動を支援する道路交通環境の構築も重要である。そのためには、運転支援機能を有する車両の交通事故がどのような道路交通環境下で発生しているのかを把握することは重要である。本研究では、衝突被害軽減ブレーキ(以下、AEB)に着目し、高速道路で発生した追突事故を対象に、AEB搭載車とAEB非搭載車の事故発生状況について比較を行った。その結果、高速道路の路線種別や車線構成の違い等によりAEB搭載車による事故削減効果に違いがみられることを定量的に確認した。
自動運転グループ 研究員 吉田 真平
外部講師・特別講演紹介 “交通安全”が適える誰もが移動可能な未来に向けて
イタルダは、設立以来30年、交通事故防止と交通事故の被害経験減を目的に、調査・分析・研究に取組み、官民それぞれの各種交通安全対策の立案・実現に寄与してきた。 これまでの人・道・車の交通安全に関わる知見は、誰もが移動可能な社会の基盤である。 今後「全ての人々の安全な移動を支える社会の実現」には、知見を基に、社会・環境と人々・暮らしの相互作用が不可欠であり、(1)社会が暮らしを支える、また(2)人々が環境に適応する視点は、きわめて重要なテーマである。 本発表会では、外部講師をお招きして(1)について『交通弱者を守るためのエビデンスに基づく政策』、(2)について『自動化するクルマの社会的受容』の特別講演をいただき、ここでは、それぞれの講師を紹介する。
研究部 特別研究員 小菅 英恵
特別講演  交通弱者を守るためのエビデンスに基づく交通政策
エビデンスに基づく政策立案(EBPM)とは、「政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとする」ことである。はたして交通政策はエビデンスに基づいているだろうか。講演では、事業用自動車の運転者を対象にしたアルコール検知器による酒気帯び確認、高齢運転者を対象にした免許更新時の高齢者講習と認知機能検査、生活道路における交通安全対策(ゾーン30)を事例に、その是非をEBPMの観点から検証する。また、交通政策においてEBPMを推進していくため、これからの交通政策と研究のあり方について論じたい。
筑波大学 医学医療系 教授 市川 政雄
特別講演  自動化するクルマの社会的受容
社会的実装が間近と言われる自動運転システムは、他の革新的技術に比して、道路ユーザー、つまり、ほぼ全ての人を巻き込むことが想定され、それ故、「社会的受容」が大きな関心事となりつつある。 本講演では、自動運転システムの社会的受容をどう定義づけるか、事故報道による人々の態度変容の可能性、実証実験に反対するNIMBY問題、新聞報道の変遷など、研究成果をいくつか紹介する。
筑波大学 システム情報系 教授 谷口 綾子