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平成29年 設立25周年記念フォーラム

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当日配布資料

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平成29年 設立25周年記念フォーラム

高齢運転者事故の特徴と発生要因
 平成28年中の交通事故死者数は3,904人と前年から減少したが、そのうち高齢者が54.8%を占め、その割合は年々増加している。さらに、高齢者の自動車運転免許保有者数の増加に伴い、普通車及び軽自動車を運転中に死亡事故を起こす割合もこの10年間で1.8倍と増加傾向にあり、社会問題となってきている。事故発生の主な要因として、加齢に伴う身体機能の低下が挙げられるが、永年安全運転をしてきた高齢運転者に何が起こっているのか。本研究では、国内の事故データを基に高齢運転者に多く見られるヒューマンエラーによる事故の特徴と事故発生の真因をあぶり出し、今後の事故低減に向けた施策を論じる。
研究部 主任研究員 柴崎 宏武
軽乗用車運転中の後期高齢者による死亡事故の特徴と対策
 近年、経済性や利便性の高さなどから、軽乗用車の高齢運転者の割合が拡大してきた。それに伴い、後期高齢者が軽乗用車を運転中に起した死亡事故件数は過去10年で普通乗用車とほぼ同等になるまで増加している。そこで本研究では、軽乗用車を運転する後期高齢者に着目し、普通乗用車との比較分析を行うことで、その特徴的な死亡事故形態を明らかにするとともに、その実態の分析により、事故予防のための効果的な対策について提言する。
研究部 研究員 三枝 達彦
アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故の特徴と対策
 アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故の割合を年齢別にみると、高齢者、特に75歳以上の後期高齢者で高く、この傾向は10年前と大きな差は見られない。一方、運転免許証を保有する高齢者はこの10年間で約2倍に増え、今後も更に増加することが予想されており、この形態の事故が増加する可能性が高い。このような状況下にあって、高齢運転者の身体機能の低下等を補う安全運転サポート車への期待が高まっているがサポート機能が備わった車両の普及にはそれなりの年月を要すると考えられる。本研究では、高齢運転者のペダル踏み間違い事故に焦点を当て、危険性の高い場所や運転行動、想定される事故例を分析し、踏み間違い事故の特徴に応じた事故防止策について提言する。
研究部 研究第一課 研究員 平川 晃洋
高齢運転者における交通事故リスクとモビリティ支援
 高齢社会の我が国において、交通安全とモビリティの維持は解決すべき基本的問題の一つである。加齢に伴って心身の機能が変化する中で、高齢者に特徴的とされる交通事故が指摘されているが、それらの事故の実態と要因についてITARDAのデータベースからの集計結果とこれまでの先行研究から総合的に分析を行う。不適切な運転行動や操作ミスに起因すると考えられ交通事故や逆走事故など認知機能低下の影響とみなすことができる事故、そして急病・発作による事故などを中心として報告を行う。併せて、それらの結果から示唆されるモビリティ支援の方策についても報告を行う。
研究部 客員研究員(佐賀大学医学部付属病院 動作解析・移動支援開発センター教授) 堀川 悦夫
ミクロ調査の現状と課題 ~これからのミクロ調査のあり方~
 ITARDAのミクロ調査は、マクロ分析とともにわが国の交通事故データの両輪を成すものであり、平成5年の調査開始から今日まで約7,000件のデータを収集し、ITARDA内での分析研究を始め、自動車メーカー等にも提供されている。しかしながら、近年、調査件数の減少、ミクロ調査内容が昨今の著しい自動車技術の進展に必ずしも応じていないなどの課題がある。ここでは、これまでのミクロ調査の概要を説明するとともに、現状の課題を整理し、衝突安全技術だけではなく、予防安全技術の開発への貢献をも視野に入れた将来のミクロ調査の在り方についても紹介する。
業務部・調査部 主任調査員 木内 透