HOME > 研究成果報告 > 交通事故・調査分析研究発表会 > 平成20年 第11回 交通事故・調査分析研究発表会

平成20年 第11回 交通事故・調査分析研究発表会

目次へ戻る

平成20年 第11回 交通事故・調査分析研究発表会

違反の累犯性からみた事故経験者のプロフィール分析
運転者の事故と違反の相互の関係性を把握するため、運転者の事故・違反歴データを長期的に抽出できるシステムを新しく構築した。
 本分析では、運転者教育に役立てる資料の収集を目的とし、このシステムを用いて運転者の事故と違反の関係を調べた。 同時に、事故歴・違反歴データを数量化する手法が事故を経験した運転者の特徴を把握可能かどうか手法の検討も行なった。
研究1課 研究員 小菅
右直事故発生における人的要因の分析
右直事故の特徴を示すと
  1. 右折側車両の前席同乗者の死亡率は運転者に比べて極めて高い。
  2. 右折側になる割合は、自転車よりは二輪車、二輪車よりは四輪車が高い。自転車、二輪車が四輪車群の中では目立たないからである。
  3. 高齢者層が右折側になる割合が高く、一つの要因として、薄暮時には見えにくくなるという高齢者の弱点が影響している。
  4. 渋滞があるとき、あるいは四輪車が沿道施設に右折で進入するときは、対向直進二輪車との右直事故が起きやすい。
とくに右折車側運転者の人的要因についてみると
  1. 急いでいなくても焦りがちになる。
  2. 右折待機による安全確認のあと、前車に追従しての右折、道を譲ってもらった時など、油断が生じる傾向がある。
  3. 相手車両が対向車、先行車の陰になり見にくかったことも多い。
  4. 数は多くないが、右折用の青矢印信号が点灯することによる優先意識は極めて高い。
などを確認することができた。
主任研究員 吉田
自動車の車両単独事故における発生状況の分析
最近の交通事故(人身事故)件数は、平成16年の95万件を頂点として昨年平成19年に83万件へと減少の傾向がみられるが、依然として高い発生件数である。
 この中でも自動車の車両単独事故は、死亡事故率(死亡事故数/人身事故数)が高い事故形態として続いている。
 この車両単独事故について着目し、近年のマクロデータとミクロデータを用いた分析を行い、予防安全の観点から自動車の運転行動や事故のメカニズムについて明らかにする。
主任研究員 勝岡
歩行者事故における車両対策の効果検証
 この10年歩行者事故件数は横ばいであるが、死亡事故件数は年々減少し、死亡事故率も減少傾向にある。一方、2003年のJ-NCAP歩行者頭部保護性能評価開始、2005年9月の歩行者頭部保護基準導入と連動して、新型車への歩行者保護対応構造の導入が進んでいる。本研究では、車両年式別に事故データーを比較分析することにより、近年の死亡事故率減少の要因明確化を試みた。車両側対策効果の検証に加え、歩行者の属性や衝突速度の変化にも注目して分析した。
主任研究員 井出
安全デバイスデータベースを用いた装備効果分析
近年の交通事故死者の低減は、道路交通法改正や取り締まりの強化、道路安全施設の拡充と充実、シートベルト着用率向上に見られる交通安全教育の強化、救急医療体制の発達など関係各方面の努力が実を結んだものと云えるが、更にこれらの施策に加えて車両の安全性能の向上も大きく貢献している。しかしこれまでの車両安全施策の効果評価に関しては、残念ながら一部を除いては過去の報告はそれほど多くはない。
 このような状況の中、この度、(財)交通事故総合分析センターにおいて車両の型式毎の安全施策対応状況(安全デバイス装備情報および安全性能規制認可取得対応情報)をデータベース化し、従来の交通事故統計データベースとリンクした集計システムを構築した。本報告ではこの集計システムを用いて、衝突安全デバイスである側突エアバッグとスマートエアバッグを取り上げて、その乗員保護効果の分析を試みた結果を紹介する。
主任研究員 木下