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第9回 交通事故・調査分析研究発表会

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平成18年 第9回 交通事故調査・分析研究発表会

1 道路交通事故情勢の推移と予測
 交通事故死者数は平成4年から減少を続け、増加傾向を示していた事故件数と負傷者数も平成17年には前年に比べ減少した。一方、高齢や女性の運転者増加やライフスタイルの変化に伴い交通事故の増加が懸念される中で、交通需要の大きな影響要因である人口は減少傾向に入った。道路交通は移動手段の一つであり人々の社会・経済活動と密接に関係しているが、従来の事故分析では交通量、走行台キロや経済指標等が考慮されることはあっても、個人単位での交通の目的に着目されることはなかった。そこで、平成2年から17年の交通事故統合データベースを対象に、通行目的に着目して統計分析を行うと、道路交通と人々の社会・経済行動特性との関係について興味ある結果が得られた。
 本研究では、社会構造の変化と道路交通事故情勢の関係を解明するとともに、今後の道路交通事故情勢を予測する等、今後の道路交通安全対策のあり方を論じるための資料を提供する。
2 歩行者事故における人体傷害の分析
 主要各国に比較して発生割合が高いとされる我が国の歩行中の交通事故(以下、歩行者事故という)について、マクロ(交通事故統合データベース)およびミクロ(事故事例調査)データを用いて、歩行者の傷害状況を分析した。さらに、歩行者ダミーを用いた乗用車との衝突実験やコンピュータシミュレーションから、車両前部形状が歩行者の傷害に及ぼす影響について求めた。その結果、歩行者がボンネット型乗用車と衝突した場合とRV型乗用車に衝突した場合では、衝突時の挙動に差が生じており、傷害を被る部位や衝撃量にも差があることがわかった。
3 車両属性・人的属性が追突事故頸部傷害へ及ぼす影響
 交通事故による死者数が減少する一方で、負傷者数は暫く増加傾向が続いた。顕著なのは追突事故によるものであり、平成17年には全死傷者数の約35%を占めるに至った。普通乗用車運転者では、追突車両では約99%が無傷であるのに対して、被追突車両では約87%が頸部軽傷を負っていた。被追突普通乗用車運転者の頸部傷害に着目し、交通事故総合分析センターが開発した交通事故統合データベースに基づき、車両属性と人的属性がこの傷害発生に及ぼす影響を分析した。その結果、鞭打ち症低減デバイスの一例であるアクティブヘッドレストは傷害発生抑制効果があること、女性が男性より傷害発生し易いこと、男性では年齢や世代が傷害発生し易さに影響を及ぼしていること、今後も追突事故による頸部傷害の増加が懸念されること、等が分かった。
4 事故データから見た四輪運転者の世代別分析
 高齢運転者が増加する交通環境において交通安全対策を立案する際の参考となるよう、男性の四輪運転者の世代別分析を行った。データは(財)交通事故総合分析センターが保有する1981年~2005年までの交通統計を対象とした。
 世代別の特徴と加齢に伴う変化の2項目を抽出したところ、年齢層別の特徴はこの2項目の組み合せとして生じていることが分かった。男性の高齢四輪運転者を5歳毎の年齢層別に見ると違いが非常に大きく、更に時代よっても違いが有るので“高齢者”としてひとくくりにするのではなく、その時々の各年齢層の特徴に応じたきめ細かな対応が適切なのではないかと思われる。男性の高齢四輪運転者が関与した死傷事故件数は今後増加すると予測される。一方死亡事故件数については、現在まで実施されてきた様々な対策を更に進化させ続けることにより、現在と同じ程度の件数に抑えることは可能であると考えられる。
5 交差点見通しの良否が運転行動に与える影響の検討
 車両の運転者には、様々な対象を適切に認知し、起こり得る危険を予測し、その危険を回避するよう適切に判断・行動することが期待されている。危険を予測、回避するためには適切な判断が必要であるのは言うまでもないが、多くの場合、認知の段階においてさえ見るべきか否かの“判断”をしていることがわかっている。その場合の判断基準は、主として過去の運転経験を通じて形成されるものであるが、長期間何事もないと、往々にして自分の都合の良いように切り下げられていく傾向がある。
 これとは別に、交通量の多少や交差点の見通し状況など、時々刻々と変化する道路交通環境の影響も強く受けるのは普段経験するとおりである。ここでは道路交通環境として、一時停止標識の有無、相手車両への見通しの良否が運転者に与える影響を調査した。その結果、一時停止標識があることは運転者の他車の存在に対する警戒レベル引き上げに有効であり、とくに見通しが良くない場合には顕著であること、一方、一時停止標識が相手側にあることを知っている運転者の警戒レベルは、見通しの良否に関係なく極端に低下することがわかった。
6 道路交通特性から見た事故の特徴分析
 本分析は、交通事故の現状を示す資料として、道路交通特性から道路の危険度の説明を試みたものである。交通事故統合データベースを使用し、一般道路の危険度として事故密度を分析した結果、交通量の多い道路において事故密度が高い値を示すことが明らかとなった。さらに、交通量区分毎に別の項目を加えて行った分析結果からは、市街地に位置する道路、大型車混入率の低い道路、信号交差点間隔の短い道路、車線数の多い道路において事故密度が高い値を示すことが明らかとなった。また、これらの分析に用いた項目について比較した結果、交通量別交差点間隔別が最も有効であることが明らかとなった。