報告書概要


出会い頭事故発生の特徴と要因分析  平成23年10月発行


1.目的

 本研究では、全事故類型の中で、死亡、重傷、軽傷事故件数においてそれぞれ3番目(16%)、1番目(29%)、2番目(27%)に多い出会い頭事故に焦点を当て、死亡、重傷、軽傷事故別、四輪車対四輪車、四輪車対二輪車、四輪車対自転車の当事者の組合せ別に事故発生の特徴を分析し、出会い頭事故低減に向けた方策を検討するための基礎資料を得ることを目的とする。

2.分析方法

 平成17年から平成21年の5年間のマクロ、及び第1当事者の運転者の行動等を分析した。
 (1)平成20年〜平成22年までの交通事故統合データによる事故発生の特徴把握
 (2)平成15年〜平成21年までの交通事故例調査データによる人的事故要因の分析
 (3)分析結果に基づく事故低減に向けた四輪車の予防安全機能の検討

3.結果の要約

(1)交通事故統合データによる出会い頭事故の特徴分析
  • 出会い頭事故の発生場所は、信号点灯交差点が約30%、信号なし交差点が70%以上を占める。
  • 信号点灯交差点では、法令違反「信号無視」が大きな原因の1つになっている。「四輪車対二輪車」、「四輪車対自転車」では、四輪車運転者よりも二輪車、自転車運転者の信号無視違反が多く、重傷、死亡と重大事故になるほど、その割合は高くなる。
  • 信号なし交差点では、法令違反「指定場所一時不停止等」が大きな原因の1つになっている。「四輪車対二輪車」、「四輪車対自転車」では、四輪車運転者よりも二輪車、自転車の一時不停止違反が多く、重傷、死亡と重大事故になるほど、その割合は高くなる。
  • 各当事者の行動類型は「直進等速」が最も多い。四輪車では、重傷、軽傷になるほど、「発進」「右折」「左折」の割合が高くなる。交差点進入に際して減速せずに等速のまま、直進する状況で重大事故が起きている。また、四輪車の一時停止後の発進時、右左折時において、多くの負傷事故が発生している。

    (2)交通事故例調査データによる事故の要因分析
  • 信号点灯交差点における出会い頭事故の人的要因の多くは「赤信号の見落とし」である。見落としの原因は、「考え事」、「他に気を取られて」、「脇見」等である。
  • 信号なし交差点において一時停止せず交差点に進入するケースは、「考え事、漫然」「脇見」等により一時停止規制・交差点の見落としが要因のものと、交通閑散としており、車両は来ないだろうとの油断・思い込みが要因のものがある。
  • 一時停止後の安全確認不十分のまま進入するケースは、「気付かなかった」「見えなかった」など、見通しの悪い交差点での相手車両の見落としが主な原因である。
  • 一時停止し、相手車両を認知したにも関わらず、「譲ってくれたと判断」「自分の方が先に行ける」等の予測・判断の誤りが要因になっている。
  • 四輪車の進行方向に着目すると、「四輪車対四輪車」、「四輪車対二輪車」事故では、四輪車の直進時の事故が最も多く、次いで右折時、特に右方向からの車両との衝突事故が多い。右折時は、交差道路の両方向に注意を向ける必要があること、時間的に回避の余裕がないことなどが影響していると考えられる。
  • 「四輪車対自転車」事故では、四輪車の直進時が最も多く、次いで左折時、特に左方向の歩道から走ってくる自転車との衝突事故が多い。左折時は、交差道路右方向の車両と合流する必要があり、右方向に注意が向き、左方向歩道への注意が疎かになることが原因と考えられる。

    (3)四輪車の予防安全機能の検討
    分析結果をもとに、四輪車の立場から運転者の行動を5つの「型」に分類し、それぞれについて予防安全機能を検討した。
    (a)赤信号見落とし型
     信号見落としが原因であり、赤信号に早期に気付かせるための方策
    (b)一時停止規制・交差点見落とし型
     一時停止規制や交差点の見落としが原因であり、規制や交差点に早期に気付かせるための方策
    (c)前方不注意・思い込み型
     車両はいないとの油断・思い込みが原因であり、運転者の危険認知の感度を高めるための方策
    (d)安全確認不十分型
     安全確認不十分による見落としが原因であり、危険対象を漏れなく認知させるとともに、適切に注意誘導するための方策
    (e)動静不注視・予測不適型
     相手の動静見誤りが原因であり、衝突の可能性や危険水準を正しく認知させるための方策

  • 目 次 (全127ページ)

    要 約

    第1章 はじめに
      1−1 背景
      1−2 目的
      1−3 分析方法

    第2章 交通事故統合データ(マクロデータ)を用いた事故発生の特徴分析
      2−1 出会い頭事故全体における環境、道路
      2−2 信号点灯交差点での出会い頭事故
       2−2−1 交差点の大きさ
       2−2−2 法令違反
      2−3 信号なし交差点での出会い頭事故
       2−3−1 交差点の大きさ
       2−3−2 運転者の性別、年齢
       2−3−3 法令違反
       2−3−4 運転者の行動
       2−3−5 危険認知速度
       2−3−6 進行方向
       2−3−7 衝突部位
       2−3−8 人的事故要因
      2−4 出会い頭事故特徴分析まとめ
       2−4−1 出会い頭事故(全体)
       2−4−2 信号点灯交差点での出会い頭事故
       2−4−3 信号なし交差点での出会い頭事故位

    第3章 交通事故例調査データ(ミクロデータ)を用いた要因分析
      3−1 分析対象データの特徴
      3−2 信号点灯交差点での出会い頭事故
      3−3 信号なし交差点での出会い頭事故
        3−3−1 四輪車対四輪車
        3−3−2 四輪車対二輪車
        3−3−3 四輪車対自転車
      3−4 出会い頭事故要因分析まとめ
        3−4−1 信号点灯交差点
        3−4−2 信号なし交差点

    第4章 四輪車の予防安全機能の検討
      4−1 運転者の行動パターンと要因
      4−2 予防安全機能への提言
      4−3 対二輪車、対自転車に対する予防安全機能

    第5章 事故事例分析

    第6章 まとめ

    付 録