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降水時には自動車乗車中、歩行中の死亡事故が増加
はじめに
1.アメダス気象データを活用する意義
2.降水時における死亡事故件数
3.降水時における死亡事故要因
4.降水時に死亡事故の多い時間帯
5.夕方から深夜の降水時に死亡事故が特に増えている要因
(1)状態別特徴
(2)事故類型別特徴
(3)自動車運転者(1当)法令違反別特徴
まとめ
降水時には、交通事故は発生し易いのでしょうか。事故の発生し易さそのものを評価するためには、降水という事象が生じていた時間当たりに、どのくらい交通事故が発生しているかを知る必要があります。今回、交通事故データに、その事故に対応するアメダス気象データを統合するシステムを作成し、降水時・非降水時の各状況下での、1時間当りの事故件数を比較し、天候と交通事故との関係について調べました。その結果、降水時には、時間当たりの交通事故が多いことが分かりました。ここでは、死亡事故に関する降水時の特徴について、分析結果を紹介致します*1。
交通事故が多い降水時の事故低減への基礎情報として、活用して頂ければ幸いです。
アメダス気象データをそれぞれの事故データに1対1で統合させることで、降水時・非降水時別での単位時間当たりの交通事故件数、事故発生要因頻度の分析ができるようになりました。
ある町での、1日の交通事故を例に説明します。1日の非降水時に6件、降水時に4件発生したとします。アメダス気象データをそれぞれの事故データに1対1で統合させることで、事故当日における降水時・非降水時の時間長を、それぞれ知ることができます。仮に、非降水時の状態が16時間、降水時が8時間と算出された場合は、非降水時の時間当たりの事故発生率は0.37件/時間、降水時では0.50件/時間となり、降水時は非降水時より事故発生率が高いことが分かります。
従来の交通事故データでは、晴・曇・雨等の天候別の事故件数は集計可能ですが、1日の天候別の時間長が算出できないため、各天候状態での時間当たりの事故件数、事故要因等の分析はできませんでした。
2 降水時における死亡事故件数
平成10年における死亡事故8797件の降水・非降水時別件数、今回の分析に用いた各アメダス観測地点(全国の843地点)の降水・非降水時別観測時間の平均*2、および降水・非降水時別の時間当たり死亡事故件数を表1に示します。
降水時・非降水時別の時間当たりの死亡事故件数を図1に示します。非降水時の時間当たり死亡事故件数は、0.99件/時間、降水時は1.15件/時間となっており、降水時には、時間当たりの死亡事故件数は非降水時より約1.16倍多くなっています。
仮に、安全対策の結果、降水時の時間当たり死者数が、非降水時と同等になったとすると、約120件の死亡事故が低減されると予測されます。
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表1 平成10年の降水・非降水時別死亡事故データ
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図1 降水・非降水時間当たり死亡事故件数 |
状態別・事故類型別の死者数(1当、2当*3)および自動車運転者(1当)・歩行者(1当)の法令違反別死亡事故件数について分析した結果を示します。状態別の降水・非降水時別時間当たり死者数を図2に示します。降水時には自動車乗車中の時間当たり死者数は非降水時より1.67倍増加しています。歩行中の死者は1.09倍の増加に留まっています。
一方、自動二輪車乗車中、原付乗車中および自転車乗用中の死者数は減少しています。これは、降水時にはこれら交通手段を利用する人が減少するためと考えられます。
図2 状態別時間当たり死者数 |
表2 状態別時間当たり死者数の 降水時・非降水時比較
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事故類型別に見た時間当りの降水・非降水時別死者数を図3に示します。降水時には、車両単独事故での工作物への衝突による死者数が、非降水時と比較し1.88倍と最も増加しています。次いで、車両相互の正面衝突による死者数が1.53倍降水時に増加しています。人対車両事故では、横断歩道横断中の死者数が1.31倍降水時に増加しています。
図3 事故類型当たり死者数 |
表3 事故類型別時間当たり死者数の 降水時・非降水時比較
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自動車運転者(1当)の法令違反別時間当たりの死亡事故件数を降水・非降水時別に図4に示します。
最高速度違反は1.81倍、安全運転義務違反の前方不注意は1.20倍、操作不適は1.69倍降水時に増加しています。
図4 法令違反別時間当たり死亡事故件数(自動車運転者(1当) |
表4 法令違反別時間当たり死亡事故件数の 降水時・非降水時比較
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降水・非降水時別の時間帯別時間当たり死亡事故件数を図5に示します。01〜02時台、17〜24時台には降水時は非降水時と比較して死亡事故が多くなっています。
(1) 状態別特徴
午後5時から午前2時台と午前3時から午後4時台における降水・非降水時別、状態別の時間当たり死者数を図6に示します。自動車乗車中及び歩行中は、それぞれの時間帯で特徴が異なっています。




午後5時から午前2時台と、午前3時から午後4時台における降水・非降水時別、事故類型別の時間当たり死者数を図8に示します。その他横断中、正面衝突、工作物への衝突はそれぞれの時間帯で特徴が異なります。


![]() 図9 降水時の時間帯別状態別時間当たり死者数 |
表8 降水時の時間帯別事故類型別 時間当たり死者数比較 ![]() |
午後5時から午前2時台と午前3時から午後4時台における降水・非降水時別、状態別の時間当たり死亡事故件数を図10に示します。最高速度違反、前方不注意はそれぞれの時間帯で特徴が異なります。


![]() 図11 降水時の時間帯別法令違反別時間当たり死者数 |
表10 降水時の時間帯別法令違反別 時間当たり死者数比較 ![]() |
アメダス統合システムを構築し、降水時の事故発生の危険性を様々な観点から定量的に評価しました。その結果、降水時は非降水時に比べ、時間当たりの死亡事故が多くなっていることが分かりました。
降水時の時間当たり死亡事故は非降水時と比較して1.16倍多くなっています。主な要因として、自動車乗車中の工作物への衝突、法令違反では最高速度違反、前方不注意、操作不適の死亡事故が増加しています。
時間帯別にみると午後5時から午前2時台に降水時の時間当たり死亡事故が多くなっています。主な要因として、自動車乗車中の正面衝突、工作物への衝突、法令違反では最高速度違反、前方不注意が増えています。歩行中では「その他横断中」の死亡事故が増えています。
降水時の死亡事故低減には、時間当たりの死亡事故が多い項目に注目して、安全対策を講じること、降水時の交通事故への安全意識を多くの人々に高めていただくことが大切と考えます。
今回の分析結果を、交通事故低減のための安全対策・安全教育等に活用して頂ければ幸いです。