目 次
はじめに
1 事故多発地点とは?
2 事故多発地点の特徴
3 事故多発地点の概要
4 対策事業の事故削減効果
5 具体的な対策事例
おわりに
日本全国では、年間約80万件の交通事故が発生しています。このような状況下、平成8年度を初年度とする「特定交通安全施設等整備事業7箇年計画」においては、「事故多発地点緊急対策事業」を主要施策として位置づけ、道路管理者と公安委員会との連携により、事故削減策を集中的に実施しています。
事故多発地点緊急対策事業においては、当センタ−が保有している交通事故統合デ−タベ−ス(交通事故デ−タと道路交通デ−タを統合したもの)を使用し、警察庁、建設省の指導のもと、科学的かつ総合的な事故分析を加え、事故多発地点3,196箇所を抽出し、交通安全対策を推進しています。
本号では、事故多発地点について、「どのような特徴があるのか」、「どのような対策が実施されているのか」、又、「どの程度の効果が得られているのか」を報告します。
1.1 事故多発地点の抽出
ある特定の箇所に交通事故が集中して発生していることはイタルダインフォメーションNo13で報告しました。
「交通事故多発地点緊急対策事業」においては、事故が集中して発生している箇所の中から、特に緊急度の高い箇所として、『10年間に1件以上の死亡事故が再起して発生する可能性が高い箇所』を、全国一律の判断基準により抽出しました。
事故多発地点では交差点部、単路部ともに高い確率で事故が発生しています。交差点では、幹線道路全体で一箇所当り年平均0.2件の事故が発生しているのに対し、事故多発地点では年平均6.3件、単路部についても、幹線道路全体で1km当り年平均0.9件であるのに対して、事故多発地点では年平均7.6件の事故が発生しています。(図1、図2参照)
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(交差点部) | (単路部) |
2 事故多発地点の特徴
2.1 どのような箇所なのか
図3に示すとおり、交差点部の事故多発地点は、交通量の多い人口集中地区(DID)に集中していますが、単路部の事故多発地点は、平地部・山地部といった交通量の少ない地域にも存在しています。
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| 図3 沿道状況別に見た事項多発地点の分布 |
2.2 事故多発地点ではどのような事故が発生しているのか
事故多発地点として選ばれた箇所は交差点部では「追突事故」、「右折時事故」が多く発生しており、特に「右折時事故」に関しては幹線道路全体と比較して事故率が6.7倍も高くなっております。単路部では「追突事故」が多く発生しており、幹線道路全体として比較して事故率が3.4倍も高くなっています。(図4、図5参照)
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| 図4 事故類型別事故率の比較(交差点部) |
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| 図5 事故類型別事故率の比較(単路部) |
ここでは、対策事業の推進状況及び対策内容について報告します。
事故多発地点については、現場を管理している道路管理者・公安委員会等が協力して、個々の地点毎に事故要因を特定した上で、重点的な事故対策を進めています。
その地点について、対策の実施状況及び実施予定を調査した結果、図6のような結果を得ました。
平成10年度までに、全体のおよそ8割、約2,500箇所で、何らかの対策事業が実施されます。
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| 図6 対象事業実施状況および実施予定 |
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高輝度道路標示 |
122 |
道路照明 |
549 |
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法定外表示(文字、マーク、矢印等) |
62 |
視線誘導標 |
389 |
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横断歩道 |
59 |
車道外側線、車道中央線、車道境界線 |
374 |
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信号機設置 |
30 |
路面標示(文字、マーク、矢印等) |
333 |
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標識の大型化(灯火式、大型、可変) |
19 |
舗装改良 |
284 |
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信号現示改良 |
193 |
道路照明 |
442 |
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横断歩道 |
125 |
路面標示(文字、マーク、矢印等) |
424 |
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信号機設置 |
56 |
右折レーン |
342 |
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進行方向別通行区分 |
52 |
舗装改良 |
282 |
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導流帯 |
52 |
交差点のコンパクト化 |
249 |
事故多発地点のうち、平成8年度に何らかの対策が実施された246箇所について、対策実施前後における事故件数の変化を比較すると、以下の表2及び図7のようになります。なお、対策実施前の事故件数については対策実施前5年間の平均値、対策実施後の事故件数については対策実施後1年間の事故件数を用いて比較しています。
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1,180 |
887 |
−25% |
719 |
511 |
−29% |
461 |
376 |
−18% |
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| 図7 対象事業による事故削減効果 |
緊急対策事業箇所における事故削減のために、これまでに取り組んできた対策として2つの事例を紹介します。
当該交差点では交差点規模が大きいことから、右折車および左折車のスピードが高く、夜間に横断中の歩行者・自転車と衝突する事故が多発していました。この状況を改善するために、交差点のコンパクト化を行い、すみきり部には道路照明を設置しました。
当該交差点は一般国道1号に横浜市道が斜めに取り付く三つ又交差点であり、国道1号から横浜市道への左折はフリーで走行できたことから、横断歩道上で歩行者との衝突する事故が多発していました。このため、交差点のコンパクト化を行い、横断歩道を前に移設しました。
本号では、事故多発地点について、その抽出から、一部について対策の効果評価までを報告してきました。
事故多発地点においては、各箇所において現地調査を行い、科学的な事故要因分析結果を踏まえて対策を立案・実施しており、事故削減効果も現れてきています。
実際に行われた対策の事故削減効果について、各箇所毎に事後評価を行い、効果があまり見られない場合には、更に、より高度な対策の実施を図ることで、徹底的な事故対策が進められています。
このように、対策実施前後の事故発生件数の変化を比較分析することにより、それぞれの場所に応じた、より効果的な対策を見出すことが可能になると考えられます。
今後とも、全国的な交通安全施策を推進するに当り、最新のデータを用いて分析を進めていきます。