イタルダ・インフォメーション
1997 SUMMER No.13


道路の形態と交通事故



目  次

 はじめに
 交通事故の集中
 道路の種類と交通事故
 道路の形状と交通事故
 道路の幅員と交通事故
 まとめ


はじめに


 現在、日本全国には、高速自動車国道、一般国道、市町村道をあわせ約114kmの道網がはりめぐらされ、毎日利用されています。昭和40年代の第一次交通戦争時には、事故防止対策に携わる関係者が、道路の整備改良をはじめとする交通安全施設等の整備、拡充、車両の安全装備の充実、交通指導取締りの強化及び交通安全教育の推進等の施策を実施することにより、交通事故死者数は減少してきました。しかしながら、昭和63年以降再び厳しい状況が続いております。平成8年には、9年振りに死者数が1万人を下回りましたが、依然として、交通事故により多くの尊い生命が失われていることに間違いありません(-1)
 本号は、道路の形態と交通事故との関係について分析を行いました。



図1 交通事故死者数の推移

交通事故の集中

 高速道路を除く幹線道路(一般国道、主要地方道、一般都道府県道及び指定都市の一部の一般市道)約176,000kmで年間約325,000(過去3年間の平均)の死傷者事故が発生しております。
このうち9%に相当する約16,000kmの区間で、全体の40%に相当する事故が発生しております。
このように、交通事故は、特定の場所で集中的に発生する傾向がうかがえます。(-2)



*道路交通センサス:建設省がおおむね3年ごとに定期的に実施している幹線道路の交通量調査等

図2 交通事故の集中する地点の道路延長と事故件数

道路の種類と交通事故

 道路の種類別に死傷者事故件数を見ますと、多い順に市町村道、一般国道、主要地方道、一般都道府県道、高速自動車国道となっています(図-3)。道路実延長1km当たり発生件数では、一般国道が最も多く、市町村道が最も少ない結果となっています(図-4)
 市町村道は、全国の道路延長の約80%をしめており、事故件数は多いものの、単位延長当たりの事故件数は少なくなります。

図3.道路種別による死傷事故件数
図4.道路実延長1km当たりの死傷事故件数

一方、死亡事故件数では、多い順に一般国道、市町村道、主要地方道、一般都道府県道、高速自動車国道の順となっています。(図-5)
幹線道路である一般国道等において死亡事故の割合が高くなるのは、自動車、二輪車、自転車、歩行者が混在する都市内を通過していること、交通量が多いこと、及び走行速度が高くなる傾向にあることなどが、その要因と考えられます。
高速自動車国道は、沿道からの乗り入れがインターチェンジのみ制限されていることや、自転車や歩行者の交通が無いこともあり、事故率(自動車が走行した総距離当たりの死傷事故件数の比率)でみますと、一般道路の約1/10と大変低い値になっています。(図-6)

図5.道路種別による死亡事故件数
図6.幹線道路の事故率
※交通事故件数は平成7年走行台キロは平成6年度道路交通センサス

次に道路を、高速自動車国道と自動車専用道路を除く「幹線道路(一般国道、主要地方道、一般都道府県道)」と「非幹線道路(市町村道)」、又、沿道状況により「市街地」と「非市街地」にて分類して、事故類型別の死者数について分析を行いました。
 その結果、自動車乗車中では、幹線道路の非市街地において、正面衝突や単独事故による死者が多くなっています。又、非幹線道路の市街地や非市街地では、出合頭や単独事故の割合が高くなっています(図-7)。二輪車乗車中では、幹線道路の市街地での右折事故及び非幹線道路の非市街地での出合頭事故の割合が高くなっています(-8)。 自転車乗用中では、非幹線道路の非市街地での出合頭事故、歩行中では、幹線道路及び非幹線道路の市街地での横断中の事故の割合が高くなっています(-9)。


図7.道路種類別事故類型別死者数
(自動車乗車中)

図8.道路種類別事故類型別死者数
(二輪車乗車中)
図9.道路種類別事故類型別死者数
(自転車乗用中・歩行中)

道路の形状と交通事故

 道路の形状を単路部と交差点に分けて交通事故の発生状況の傾向を見ますと、死傷事故(全人身事故)は、交差点で過半数発生しており、交差点、単路部ともに増加傾向にあります(-10)。一方で、死亡事故は単路部で過半数発生しています。(-11)

図10.道路形状別死傷事故件数
図11.道路形状別死亡事故件数

前述のとおり、死傷事故尾と比較して死亡事故は、単路部での割合が高くなっていますが、特にカーブでの割合が高くなっています。(-12,13)
図12.道路形状別死傷事故件数
図13.道路形状別死亡事故件数

道路の幅員と交通事故

道路の幅員別に死傷事故件数、死亡事故件数を見ますと、2車線と考えられる幅員5.5m9mの道路で過半数が発生しています (-14)
更に横断中の死亡事故に着目しますと、やはり幅員5.5m9mの道路で過半数が発生していますが、死傷事故に占める死亡事故の割合は、道路幅員が広くなるに従い増加する傾向がうかがえます(-15,16)


図14 道路幅員別事故件数
図15.車道幅員別横断中死亡事故件数
図16.車道幅員別横断中死亡事故比率

まとめ


 交通事故を道路の形態という側面から見てきました。

今回、紹介できなかったデータを含めてまとめてみますと、

  1. 幹線道路では、単路部においての自動車や二輪車の正面衝突、単独事故や歩行者の横断歩道以外での横断中の事故が多くなっています。
  2. 非幹線道路では、自動車や二輪車の単独事故、歩行者の横断歩道以外での横断中の事故や交差点での出合頭事故が多くなっています。
  3. 市街地では歩行中の事故が多くなっています。
  4. 非市街地では、正面衝突、単独事故や歩行者の事故及び交差点での出合頭事故が多くなっています。

前述のとおり、交通事故は特定の箇所に集中して発生している傾向があります。従って道路における

交通安全対策は、道路の形態と発生する事故の特徴をきわめるとともに、その他の要因(照明、標識等)を総合的に分析し、的確な対策を講じる必要があるといえるでしょう。また、都市内の幹線道路の交通事故を減少させるためには、行政側が沿道からの出入りを制限し、自転車や歩行者の混在交通をなくした高規格幹線道(高速自動車国道、自動車専用道路)、都市周辺の環状道路の整備を推進する一方、道路の役割に応じた適正な利用がされるように、ドライバーや歩行者の意識を高めるなど交通安全に対するモラルの向上のための取組みを進め、住民と行政が協力した道づくりが必要なのではないでしょうか。

 


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