夜間事故の概況
事故類型の比率
夕方〜22時
22時〜02時
02時〜早朝
まとめ
総務庁の交通安全白書(平成6年度版)によれば、「近年の国民の生活パターンの夜型化等に伴う夜間道路交通量の増加等を反映し、夜間の死亡事故発生件数が、昭和55年以降一貫して昼間の死亡事故発生件数を上回っている」としており、夜間(*1)の事故が大きな問題となっている。
そこで今回は、夜間死亡事故に焦点を当てて平成5年の交通事故統計データをもとに分析を行い、その実態を明らかにした。
夜間の死亡事故率は昼間の約3倍
平成5年の交通事故統計データで、人身事故全体と死亡事故について昼夜別に発生件数を比較すると(表1)、人身事故全体では夜間事故は31.0%を占めているに過ぎないが、死亡事故でみた場合、その比率は56.6%と夜間のほうが昼間を上回っている。また、人身事故及び死亡事故の時間帯別の分布を調べてみると(図1)、人身事故全体では夜間の時間帯で発生件数がかなり減ってくるのに対し、死亡事故はむしろ多くなっている。従って、表1に示す死亡事故率(*2)でみると夜間の死亡事故率2.6は昼間の約3倍で、いかに夜間事故が危険であるかを示している。
| 人身事故件数 | 死亡事故件数 | 死亡事故率 | |
| 昼 間 |
499,777
(69.0%) |
4,514
(43.4%) | 0.9 |
| 夜 間 |
224,898
(31.0%) |
5,881
(56.6%) | 2.6 |
| 計 |
724,675
(100%) |
10.395
(100%) | 1.4 |

●図1 昼夜別時間帯別事故件数
(*発生時間00〜01は0時から01時59分までのことをいう)
夜間の人対車両、車両単独の死亡事故件数は昼間の2倍
夜間の死亡事故の特徴を探るため事故類型別に昼夜で比較すると(図2)、人対車両事故は、昼間が891件(昼間全体の19.7%)、夜間が1,985件(夜間全体の33.8%)、車両単独事故では昼間が912件(20.2%)、夜間が1,743件(29.6%)と共に夜間で比率が高くなり、件数で比較すると、どちらも昼間の約2倍となっている。
これをさらに細かく時間帯別に分類してみると(図3)、夕方(16時〜18時頃の日没)から21時頃までは人対車両事故の比率が高く、22時頃から05時にかけては車両単独事故の比率が高く、02時から早朝(05時〜07時頃の日の出)にかけては車両相互事故の比率が高い。
夜間事故一口に言っても、夏と冬とでは日没/日の出の時間に幅があり、また夕方、夜、深夜、早朝と、時間帯によって人及び車による交通目的に違いがあることから、その事故形態にも特徴があり、まとめて議論することは難しい。
従って本報告では夜間を、夕方〜22時、22時〜02時、02時〜早朝の3つの時間帯に分け、各々について死亡事故の分析を行ってみた。


●図3 時間帯別死亡事故の事故類型別構成率
高齢歩行者の道路横断中の事故が圧倒的に多い
この時間帯の交通事故による死者数は2,386人で、夜間事故全死者数6,229人の38.3%を占めている。これを年齢層別状態別に分類した結果を図4に示す。
この時間帯では歩行中の死者が1,114人と最も多く、この時間帯での死者数の46.7%を占めている。とくに65歳以上の高齢歩行者が692人と圧倒的に多く、また50歳代(142人)、60〜64歳(142人)の歩行者も目立っている。
また、この時間帯での自転車乗車中の死者数264人のうち65歳以上の死者105人は他の年齢層に比べ、とくに多い。


●図5 年齢層別事故類型別歩行中の死者数
車両単独事故による死者が多い
この時間帯での事故による死者は2,263人で夜間全死者数の36.3%を占めており、深夜の交通事故による死者も決して少なくない。
これを年齢層別状態別(図6)に分類してみると、普通乗用車乗車中の死者数が907人(当時間帯での40.0%)で、16歳以上から40歳代までの幅広い年齢層で多く、とくに20〜24歳(262人)16〜19歳(189人)の若者が大きく目立って多い。
また二輪車乗車中の死者(219人)では、16〜19歳(114人)が比較的多い。歩行者の死者数578人(当時間帯での25.5%)では、40歳代(129人)から50歳代(164人)、60〜64歳(76人)、65歳以上(105人)と中高年層に広がっている。



●図8 年齢層別状態別死者数(車両相互事故)

●図9 時間帯別年齢層別飲酒運転比率(夜間全死亡事故の運転者)

車両相互事故による若者の死者の比率が高い
この時間帯での事故による死者数は1,580人で、夜間全死者数の25.4%を占めている。これを年齢層別状態別(図11)に分類すると、全体としては、普通乗用車乗車中の死者数が674人(当時間帯での42.7%)で、20〜24歳(215人)、16〜19歳(156人)の死者が依然として多く、また貨物車乗車中の死者数263人(当時間帯での16.6%)も他の時間帯と比べて比率が高くなっている。
歩行者の死者数は335人(当時間帯での21.2%)で、再び65歳以上の高齢者(140人)が多い。
これをさらに年齢層別状態別でみた場合、車両単独事故(図12)による死者数は595人(当時間帯での37.7%)で、全体として減っているものの16〜24歳の若者の普通乗用車乗車中の死者が相変わらず突出している。


●図12 年齢層別状態別死者数(車両単独事故)

●図13 年齢層別状態別死者数(車両相互事故)
車両相互事故(図13)による死者数は653人(当時間帯での41.3%)で、その数は減っているが他の時間帯と比べ比率は一番高くなっている。16〜24歳の若者の普通乗用車乗車中の死者が依然として突出しており、また20歳代から50歳代までの層で貨物車乗車中も全体的に増えていることも特徴的である。この車両相互事故を事故類型別に他の時間帯と比較してみると(図14)、正面衝突及び追突による比率が高くなっていることがわかり、これはこの時間帯で「居眠り」運転による事故が多くなっていることを示している。
また、22時〜02時台と同様に飲酒がらみの事故比率も高く(図9)、とくに20歳代の若者の飲酒運転及びスピードの出し過ぎによる事故(図10)も多いと考えられる。
以上の結果から、02時〜早朝の時間帯での事故では、22時〜02時台の事故と同様に、自動車乗車中の死者が多く、とくに車両相互事故で普通乗用車の若者及び貨物車、車両単独事故で普通乗用車の若者に多く、居眠り運転、飲酒がらみ、スピードの出し過ぎによる事故が多い。また歩行者では65歳以上の高齢者の死者が増えていくことも特徴といえる。

今回の夜間死亡事故の分析により、夜間事故と一口に言っても時間帯により大きく特徴がことなることが明らかになった。その内容をまとめると下記のとおりである。
|
夕方〜22時
死者数:2,386人 |
22時〜02時 死者数:2,263人 |
02時〜早朝
死者数:1,580人 | |
|
人対車両事故
死者数:2,004人 |
・65歳以上の高齢歩行者
死者数:1102人 |
・中高年の歩行者(飲酒がらみ)
死者数:573人 |
・65歳以上の高齢歩行者
死者数:329人 |
|
車両相互事故
死者数:2,307人 |
・65歳以上の高齢者の自転車乗車中
死者数:858人 |
・16〜24歳の若者の普通乗用車乗車中
・16〜19歳の二輪車乗車中 ・中年の飲酒がらみの普通乗用車乗車中 死者数:796人 |
・16〜24歳の若者の普通乗用車乗車中
・20歳代以上の貨物車乗車中 ・居眠りによる正面衝突/追突事故 死者数:796人 |
|
車両単独事故
死者数:1,887人 | 死者数:408人 |
・若者〜中年の普通乗用車乗車中
・中年の飲酒がらみ ・若者のスピードの出しすぎ 死者数:884人 |
・16〜24歳の若者の普通乗用車乗車中
・若者の飲酒がらみのスピードの出しすぎ 死者数:595人 |
|
踏切事故
死者数:31人 | 死者数:18人 | 死者数:10人 | 死者数: 3人 |
今後、夜間事故に対する安全対策を考えたり、交通安全に関する情報提供をする際には、夜間事故全体をひとまとめに取り扱うのではなく、ここで分析されたような時間帯に夜特徴を考慮することが有効である。